前回の記事の、ゴロス太鼓の締め直し方を教えてくれたのは、みどりや親方でした。
仕事中、「紐が緩んでるな」と言って休憩時間にスルスルと紐を解いて、あっという間に締め直してくれました。
話好き、親分肌で面倒見の良いみどりや親方にはいろいろな話を聞きました。
みどりやの親方だけではなく、チンドン屋の大先輩の方々にはいろいろなことを教わりました。
太鼓のこと、道具のこと、着物の着方、昔のチンドン屋の人や仕事の話など。
親方達の方には教えるという感じでもなかったのでしょうが、ふと何かのきっかけに、親方達の言葉が思いだされる事があります。
当時は、何の気なしに、時には面倒だなと思いながら聴いていた話も知らず知らずのうちに、自分の中に降り積もっていたんだなぁと思うと、嬉しく、そして今はいない人達を懐かしく思います。
その時はわからなかった言葉も長い時間の経った今なら腑に落ちるということもあります。本当に貴重なものをいただいた時間だったと思います。
親の意見、いや親方の言葉と冷酒は後に効く。
綱島徹氏写真集「ちんどん屋」の表紙を飾った、みどりや親方。残念ながら絶版のようですので、ご覧になりたい方は古書店か図書館で。